大人になるということ

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【神奈川新聞投稿文】大人になるということ
 本紙の「成人するあなたへ~本物の孤独と出会う」を読んで、意を同じくした。孤独とは「一人で自分と向き合う」ことです。解決不可能な人生の問題を本物の孤独の時間の中で取り組むことが、本当の大人になることですと書いてあった。
 成人の日の「照明灯」では、山口瞳さんの新聞広告を引用しながら、本当の大人になることの難しさを新成人に語りかけていた。
 児童虐待の事件がクローズアップされているが、ほとんどの親は、子どもの誕生を心から喜び、その幸せをかみしめている。子どもの成長が何よりの喜びであり幸せの源泉である。NHKの土曜ドラマで重松清原作の「とんび」が放映されたが、事故で最愛の妻を亡くして父親一人で息子を育てる物語である。子どもを育てながら本物の親になっていく過程がよく分かる。子どもが母親恋しさに毎日おねしょして住職さんに相談する場面で、母親の代わりに周りの人たちの手がその子の背中を温めてあげればよい。父親は海となってすべてを包み込み、悲しい時こそ笑えと諭される。本当の大人になるということである。

重松清さんの小説が大好きで、次々と読んでいる。「とんび」は本屋で見つけて読んだ。その帯に1月にNHKの土曜ドラマで堤真一主演で放映されると書いてあったので、1月7日と14日の2週にわたって観た。テレビでは、あらすじという感じで細かな心情の機微については表現されていなかったので、自分としては小説の方がよかったなという印象を受けた。小説をバスや電車の中で読んだのだが、何度涙がこみ上げてきて泣いたか分からない。周りの人が怪訝そうな顔をするのも無視して、小説の世界に入り込んで読みふけった。
 息子が春から家を離れて一人暮らしを始めるので、その思いも重なったのだと思う。子どもの自立は嬉しいがその反面寂しくもある。自分自身子離れしなければならないと思っている。
 息子は、卒論を書くために時々大学に泊まって自宅に帰らない日がある。とんびの息子のあきらのように自分がいない生活に家族に慣れさせているのかもしれないと思う時がある。

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