国破れて山河あり
【神奈川新聞投稿文】
公園のモクレンが白い花を咲かせていました。世の中がどんなに騒がしくて浮き足立っていても、季節は確実に移っていることを知りました。ふと「国破れて山河あり」という杜甫の詩を思い出しました。
日本は昔から自然災害の多い国です。だから自然に対する考え方は、征服するというよりは共存するという考え方が強いように思います。あるがままの自然を受け容れるという感性は、「諦(あきら)める」という思想を生みました。
これは文字通り思い切るという意味だけでなく、明らかにするという意味も含まれます。地震は仕方ない。起きてしまったことは、覆せない。という意味であきらめると同時に、この地震のことを明らかにするなかで、今後にこの経験を活かしていくということも諦めることだと思います。日本人は幾多の自然災害を乗り越えて復興してきました。そんな逞しいDNAを持っている国民だと思います。今が一番苦境にあるとき、ここでどう生きるかが我々に問われていますし、日本人の真価が問われています。今こそ自然のたくましさを学ぶときだと思います。
東北・関東大震災が起きてから一週間が過ぎました。まだ時々余震があり緊急地震速報が流れ緊張することがありますが、少しずつ街は普段の様子にもどりつつあります。計画停電も週末になり休日の間は実施しないということで、心配なく電気が使えることのありがたさを感じています。
今回の地震でいろんなことを学びました。物はあるのに買いだめする人間心理から物不足になりました。ガソリン渋滞という言葉が生まれたように、ガソリンを求める車で渋滞が生じています。ガソリンの節約のために学校を休んでいる保護者もたくさんいます。計画停電の時間にかかると学校は休校になります。夜は街全体が暗くなります。電気にいかに頼っていた生活を送っていたかが実感できました。
被災地で避難生活を送っている人たちの思いに比べれば、私たちの不便さに文句を言うことはできないと思います。こういう時こそ助け合いの精神を発揮する時だと思います。
あるとき、公園を通り過ぎる時に白木蓮の白い花がきれいに咲いているのに気がつきました。季節は確実に移っていることを知りました。世の中がどんなに慌ただしくても自然は確実にその営みをはたしたくましく存在しているという事実に感動しました。それと同時に、日本人にもどんなに苦しく大変な試練があってもそれを乗り越えていくたくましさが備わっていることを感じました。ゼロからまた復興していく力を持っていると確信しました。その思いを投稿文にしました。
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